第一章1
「この火傷の状態なら治すのに3時間くらいかな」「助かる」
「すごく痛くていいなら1時間で済むけど……」「別に構わないぞ」
「ただし失敗する確率は9割。」「やめろ」
物語の始まりの挿絵。
紅葉が部屋に入ったとき、最初に見た光景を描いています。
当初は「最後にムッとしながらお茶を飲む」シーンだったのですが、ショーンがドアの手前にいるので部屋の景色が入らないのと、物語の冒頭っぽくないなと感じ、このシーンに変更しました。
古びた星柄のフロアランプと、星柄の文机椅子は、同じ家具屋という設定です。デザインがなかなか浮かばなかった時、せや、同じメーカーの家具にしよ!と思いついたらスラスラ描けました。下記の本は参考書籍です。
著:ジュディス・ミラー
食べかけお菓子の下にあるチェストは、p.60のチロル製の18世紀の箪笥を参考にしています。花柄でめちゃかわ。
こちらの本は、食器や人形などの小物はもちろん、椅子や家具などの大型家具が驚くほど豊富です。取っ手や脚先の装飾一覧など、絵描きが知りたい部分の拡大画像が超豊富なのでお薦めです!
第1章【Rat-a-tat】ラタ・タッタ1
[意味] こつこつ、ドンドン、ダダダッ。 [補足] ドアを叩く音、太鼓を叩く音、機関銃の音などの擬音語。 ──ドンドンドンッ! 下宿所の一番奥の角部屋。そのドアを勢いよく叩く音が廊下に響いた。 ...
第一章2
「お疲れ。今日は何話してたの?」「ベアルネーズソースの事だよ」
「何それ」「知ってるか? タラゴンとエシャロットとチャービルさ」
「分かった、売り出し中の歌手でしょ」「違うよ」
酒場ラタ・タッタの一幕。
最初は紅葉だけ描いてたのですが、妙に上部に空白ができたので、ショーンの😠顔も追加。前の絵でボツにしたお茶してる様子を描けて満足です。
描き始めはあまり背景を考えておらず、ソファーあってタバコ吸えたりゲームできたらいいなーと欲しい家具を追加していきました。
紅葉の背後の絵はモンサンミッシェルです。モンサンミッシェルそのものは書けないので、太い平筆でザクザク描いた感じに描きました。いつか行きたい。
第1章【Rat-a-tat】ラタ・タッタ2
ショーンらが住むここ『酒場ラタ・タッタ』。 創業68年目を迎える、大きな2階建ての建物だ。 古びたワインウッドの外壁で、三角屋根も濃い紅色である。南北に長く、南側を酒場で使い、北側が下宿となって ...
第一章3
「ファンロン茶の悪徳業者がついにサウザスにも現れたみたいだぞ」
「そうなんだ。気を付けないとね」
「なんでも藁で水増ししてるっていうんだ。ひどいだろ」
「藁かぁ、ショーンの主食じゃん」「主食じゃないッ!」
絵葉書みたいなサイズ感で気に入ってます。
実質、挿絵の中で一番古い絵です。なのでサイズが小さかったり、紅葉の顔が少し違います。後で直そうしたのですが、何度直してもちょっと違うな…ってなってこの顔で完成になりました。
キッチンの葡萄柄のタイルがお気に入りです。ギリシャ神話を調べてた時、すっかり葡萄=豊穣のイメージが刷り込まれて、台所に相応しいなと思って描きました。
著:トレヴァー・ヨーク
台所のデザインはp.60のエドワード七世時代のキッチン様式を参考にしています。同じページ数なのはたまたまです。
こちらの本は、初期チューダー朝から戦後までの英国インテリアを温かみある手書きイラストで紹介してます。コンパクトで薄い本ですが、その分ミチッと情報量が詰まってます。
第1章【Rat-a-tat】ラタ・タッタ3
そもそもアルバとは何か。 アルバとは魔術師。 大陸ルドモンドにおける、帝国魔術師のことである。 年に一度、試験が行われ、帝国から正式に認定を受けた者だけが、その職を名乗ることができる。アルバに ...
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