短編拾遺集
短編本棚
【星の魔術大綱】と異なる世界観の短編集
「東京の女子高生シリーズ」 第一話
東京JKのキツネとたぬきとアライグマ
2021/12/22
怖い話をしよう。その日、私はちょうど奥多摩のばあちゃん宅にいた。冬休みに入ったばかりでね、母親と来ていた。午前中は掃除を手伝い、そのあと昼ごはんを食べた。温かい饂飩だった。畑でとれたネギとニンジン…… ...
東京JKのハロウィンパーティー
2021/11/22
恐ろしい話をしよう。その日、私は気分が落ち込んでいた。10月の末、ちょうどハロウィンの前日だった。私は気分を盛り上げようと、近所の大型スーパーに出かけることにした。スーパーは豪華に飾り付けられ、イベン ...
東京の女子高校たちの宿題
2021/8/8
「マリー、宿題終わった?」 「……おわってねえ……」 理香子が花火の柄のウチワで仰ぎながらマリーに聞いた。 マリーは長時間トイレに閉じこもったような青いゲッソリした顔で答えた。 夏休み最後の週。 ...
東京の女子高校たちのアイスコーヒー
2021/8/1
井出理香子は高校生にしては多くの趣味をもっている。まずは音楽鑑賞。小さい頃から習っているピアノ、高校から始めたベース。観葉植物を育てること。そして、最後にコーヒーがある。 コーヒーを淹れるには多く ...
東京の女子高校たちの浜辺の漂流物
2021/8/1
「今日はこれからカニを食べるの」 「良かったね」 「マリーも一緒に食べよう」 「は?」 夏休みが2週目に入ったある日の夜。赤いカニ爪を持ちながら、タブレット越しに理香子がニッコリと微笑んだ。 &nb ...
東京の女子高生たちの打ち上げ花火
2021/8/2
「今年の隅田川の花火大会中止だって」 理香子は、淡い黄緑色のスマホの明かりを見つめながら、夜光虫のように呟いた。 「そりゃあそうでしょうよ」 マリーはウンザリしたように頬杖を付き、シャーペンを回し ...
東京の女子高生たちの秘密基地
2021/8/8
「秘密基地が欲しいー!」 暑い夏の始まりの坂道、前を歩いていた理香子が唐突にこう叫んだ。 「秘密基地って?」 重いライブ機材を両肩に背負ったマリーは、イライラと返事した。 「そう、秘密基地。欲しく ...