カクヨムの自主企画やってみた 6月のアンティーク

みなさんは、アンティークと呼ばれて何を思い浮かべるでしょうか?
人形? 古地図? 古本? ──それとも昔の車?
アンティークと一口にいっても、人によって思い浮かべるものは様々です。

 

今回はそんな思いを、カクヨムさんの自主企画を通じて、語っていきたいと思います。

 

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■自主企画とは■

カクヨムさんには「自主企画」という、ユーザーの交流コーナーがあります。
「自主企画」(カクヨム)
「自主企画の仕様説明」(カクヨム)

タイトルは最大100文字。企画内容は最大10,000文字。期間は最大3ヶ月まで設定できます。

といっても、なろうタイトルのような文字数びっちり期間MAXといった事はほとんどなく、
多くがスッキリした過不足のない企画タイトルに、期間は1か月くらいが多いのかな。
期間は企画途中でも伸ばせるので、中には主催者様がずっと続けてるおばけ企画もあります。

「短編小説あつまれ」「ホラー系の本棚」など、ジャンルでまとめた企画、
「高校生作家限定」「上京ラブストーリー」など、ジャンルやタグではヒットしない集まり、
「読み合いしようぜ」「感想が欲しい方の企画」など、ノンジャンルで感想目的の企画……

「置き場所がない人のための本棚」というのもあります。(ここが一番多かったりする)

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■君は何をやりたいか■

自主企画を立ち上げるに至って、趣味全開のものをあげることにしました。
それは【西洋アンティーク】────!!

アンティークと名の付くものは、文化を問いませんが、今回は西洋で──!
西洋骨董品ですね。
自分ではなかなか持つことはかないませんが、アンティーク物が出てくる小説、漫画、参考書などを夢中になって読んだものです。

西洋骨董洋菓子店
ギャラリーフェイク
エマ……などなど

本や漫画はいつだって夢をかなえてくれる。素敵だね。

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■企画内容を詰めよう■

期間はあまり長くやるのもということで、6月12日から6月末日に設定。

募集内容は、アンティークがメインテーマの作品。
もしくは作中でアンティーク描写が多い作品です。

ここで考えるのが「転生ざまぁ悪役令嬢」などのいわゆるテンプレ作品です。
一大勢力を誇っているので、どれくらい参加されるか分からない……。
どうしようか考えた結果、「アンティークがメインテーマのみOK」にしました。
(今の規模を考えるとOKにして良かったなと思ったのですがまあ)

 

色々と考えた結果、こういう形(カクヨム)になりました。

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■集まって頂いた作品■

全部で10作品に集まっていただけました!
ニッチめで半月の期間企画にしては集まった方だと思います。
複数送って下さった方もいらしてありがたい限りです。
では、さっそく紹介していきたいと思います。

 

作者:森陰五十鈴

作品:魔書専門修復師の家系に生まれた穂稀 詩凪(ほまれ しいな)は、ある魔書を追っていた。
一年前、両親の死とともに、解けて散らばってしまった〈ルルー異録〉のページ。かつて異国のある街に起きた悲劇を記したその魔書は、詩凪の住む篠庭の街々で怪異を引き起こしていた。
幼馴染の柾、穂稀家の使用人のキキ、そして新しい仲間の凌時の三人とともに、詩凪は今日も魔書の怪異に立ち向かう。

魔書〈ルルー異録〉を巡る現代伝奇ファンタジー。完結作品です。 昭和浪漫あふれる雰囲気の作品です。 主人公・詩凪の服装がレトロ可愛くてたまらんです。 主人公に自分の趣味の服を着せてる柾や、メイドのキキさんのキャラも素敵です。 本の装丁技術者ルリユール、ビスクドールやグランギニョールなど 登場するアンティークワードが心くすぐられます。
人形01

 

作者:

作品:国を背負い、窮屈な毎日に嫌気が指す王子ロイ。隣国の姫チェリスとは許嫁の仲である。
ある日、ロイは隣国の城に隠された扉を開いてしまう。そしてそこには、ロゼアと名乗るチェリスにそっくりな謎の少女がいた…
皇華さんと華紅薇の過去話。

まだ序盤ですが、城や城に住む人々の描写が素晴らしいです。 薔薇園の説明は、本当に香りが漂ってくるようです。 主人公の王子ロイの恋心が伝わってきます。
人形01

 

作者:南雲 燦

作品:「チェックメイト」
白いキングの駒が盤上から転がり落ちた
伯爵と3人の執事が送る、狂気と愛と悪に塗れた物語がここに開幕。
悪には悪の鉄槌を。
牙を剥かれたが最後、生きては戻れない。

全編美しい西洋アンティーク溢れる文章と世界観の作品です。伯爵同士の会話に隙のない洋館描写とたまりません。 執事ギルバート氏が渋格好いいです。 映画を見ているようなオペラを見ているような体験が味わえます。
人形01

 

作者:平中なごん

作品:現代の英国を舞台に〝アーサー王伝説〟と〝聖剣エクスカリバー〟を巡るミステリ×ファンタジな冒険小説。
魔法の武器は出てくるけど、現実に〝あり得なくはない〟物語(読むとその意味がわかります)。
少々長くて悠長ですが、読むと世界最大の伝説群と呼ばれる〝アーサー王伝説〟についてほぼほぼ網羅して理解できます。

アーサー王伝説を巡る、怪盗マリアンヌと主人公の石上刃神の ミステリーサスペンスストーリーです。完結作品です。 緑男の骨董店(グリーンマンズ・アンティーク)という店名がたまりません。 アーサー王関連の実際のイギリスの地名や文化誌がたくさん出てきて勉強になります。 最後に種明かしと怪盗ものはこうでなくっちゃ的なオチで凄い作品でした!
人形01

 

作者:Lou Bernard

作品:1919年ヴェルサイユ条約締結
精霊界は疲弊していた
このまたとない好機に武装集団が動物界辺境の地スエイアを封鎖
人間から奴隷を解放しようとする彼らを
オレンジとラベンダーは止められるのか

アロマ・精油の精霊によるドタバタギャクSF作品です。完結作品です。 全面にあふれるウィットに富んだイカれた会話劇の合間から 含蓄に富んだ描写がフッと挿入されてて、 サンドウィッチ的ナンセンス文学が味わえます。 アンティーク要素は市長の家あたりだけでちょっと少なめですが、 そういうの全部棍棒で殴ってくる作品です。
人形01

 

作者:のの(まゆたん)

作品:歴史の小話 
・アジアの名前の由来と古代アッシリア
・ボストン茶会事件とアメリカ独立
・マーガリンとナポレオン3世の関係って(え?)
・みんなの好きなfe・・に出てきたジグラットとか某女神さまの元ネタとかとか・・

小説以外もどうぞということで、歴史トリビア集で参加してくださいました。 西洋だけでなく、アジアや古代近代も色んなトリビア話が満遍なくあり、 結構知らなかった事も知れて勉強になりました。
人形01

 

作者:のの(まゆたん)

作品:1914年夏に起きた戦いの始まりに
まだ何も知らない兵士達は、のんきに出かけていったという・・
懐かしい想い出の少女 誰も覚えていない不思議な少女・・
再会したのは戦場だった ※クリスマスの奇跡(休戦)という実話を元に・・

絵本のような会話劇の作品です。 まだ序盤ですが、お菓子の話やパリの絵葉書など、 登場する小物に西洋アンティークを感じます。 しかも西洋から見たジャポニズム要素もあり、素敵です。
人形01

 

作者:のの(まゆたん)
作品:大正時代 生き別れの双子の姉妹 やがて 姉は伯爵令嬢となり 妹は孤児院育ちの内気な使用人 そんな二人の恋の行方・・
大きな店の若主人 それとも傷心の子爵 あるいは異国の貿易商の二人組?
美人で大雑把で食欲魔人の・・伯爵令嬢こと姉の食欲を それとは知らない妹は
姉の食欲を満足させる事が出来るのか・・いや、そういう話じゃないかも知れない・・

大正ロマンものの作品です。 生き別れの双子という設定がいいです。 和ものなので西洋アンティーク要素は少なめですが、小物や会話から風景を感じます。
人形01

 

作者:かがみ透

作品:横浜観光スポットの一つ「港の見える丘公園」。そこにある老舗紅茶館をひとりで営む祖母の元へ転がり込んだなぎ。
セクハラ・パワハラで仕事を辞め、手伝う予定の紅茶館は既に閉店。祖母は急用でイギリスに旅立ってしまう。
クールな美少女と不思議イケメンたちと一緒に紅茶館をなんとか再開するが、一方、鏡の世界では異変が起きていた。

紅茶館で活躍する主人公の少女向けティーン文庫な作品です。完結作品です。 暖炉の上の飾り棚(マントルピース)…いい。 不思議の国のアリスと鏡の国のアリスの世界観が全面に出ており、 作中で登場する紅茶のレシピもどれもおいしそうです。 物語がギュッとまとまっていて、大団円を迎える素晴らしい作品です。
人形01

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■いかがでしたでしょうか■

「アンティーク」という面からの感想なので、ちょっと感想文が偏っているかもしれませんが、参考になれば嬉しいです。

どれも素敵な作品様ですが、やはり「アンティーク」の面でいくと、一番おすすめは南雲 燦さんの『ダウズウェル伯爵の深謀』です。 本編すべて洋館の匂いと静けさと浪漫を感じるようなアンティーク描写でひときわ素晴らしかったです。

もちろん「アンティーク」要素は物語のごく一要素にすぎませんので、今回ご参加いただいた作品──特に、完結作品はどれもストーリーがきっちり描かれていて素晴らしかったです。

この後に自分の作品をおすすめする厚かましさと恥ずかしさよ……。

 

作者:宝鈴

作品:田舎のしがない帝国魔術師・ショーンが、町長の失踪事件を解くうちに、巨大な陰謀に巻き込まれていく、ミステリー冒険ファンタジー小説。

お前マジかよ
人形01

い、一応アンティークっぽい小物もたくさん出てくるから……(震え)

 

次回はまた別の企画でやりたいと思います。
ご参加くださった皆様、ありがとうございました!

作者の方は敬称略。
作品あらすじはカクヨムから一部を引用しております。
2021年7月6日時点での情報です。作者様のご都合により内容が変更される事があります。

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部屋:photo VinnyCiro by pixabay
人形:photo E22style by photoAC